皮膚の防衛機能を上げる衛気(えき)

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎を中心とする皮膚疾患の方は中医学の概念でいう「衛陽不固」が
多いようです。

衛陽不固のため、悪風があり、腠理が空疎のため、津液が外泄して自汗がみられ、
外邪が侵入しやすくなり風邪をひきやすくなります。
一般的に顔色が白く、舌質淡、舌苔薄白、脈無力です。

外気の温度変化に弱く、特に皮膚疾患になりやすいです。

この体質の方が年々増えているのは、冷暖房の普及、運動が少なく汗をかく頻度が
少ない、高栄養素の食品の過剰摂取などが考えられます。

ステロイド外用剤の長期使用も衛気不固の原因の一つだと思います。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

衛気とは脈外をめぐる気である。主要な生理機能は内にあっては胸腹に散って臓腑を
温煦し、外にあっては皮膚と分肉の間を循行して、腠理(そうり)の開合を調節し、
肌表を護衛し皮毛を潤沢にし外邪の侵入を防衛する。

「中医学基礎」神戸中医学研究会訳

腠理:皮膚のきめを指す。皮膚と皮下筋肉との間隙を指す。腠理は気・血・津液が
   流通するための門戸であり、外邪が内部に侵入するのを防ぐ機能もある。
   もし腠理が軟弱で緻密でないと外界の病邪が人体に侵入して各疾患が発生する。
   「中医基本用語辞典」東洋学術出版社

衛気不固の病機でよく使用される処方が玉屏風散(衛益顆粒)です。益気固表の
黄耆が主薬で、健脾益気の白朮、風邪(ふうじゃ)を除去する防風の組み合わせです。

私自身は皮膚疾患で炎症がある段階では使用したことがありません。緩解期に入り
本治を希望されるお客様には使用しています。

黄耆単味をお茶として飲んでいただいている方もいます。
       

コメント