三焦(生命活動の維持と水液代謝の通路)

中医学

三焦、これほど悩ましいものはない。中国医学独特の概念であり、いまだに統一した
結論がありません。生理機能に関しては詳しいのですが実体がはっきりしません。

「三焦」は臨床に深くかかわっています。

「三焦」は決瀆(けっとくの官である。)決は決定する。瀆は溝、水路、このことから
水の流通を管理しているのがわかります。

「三焦は諸気を主る」という言葉もあり、三焦には全身の気機と気化を統括する作用も
あります。(諸気とはあらゆる気)

中国は大河の氾濫に悩まされつづけてきました。人間は大宇宙に対し、小宇宙と考える
中医学では当然、体内に流れる大河があり、それに伴う支流を考えるはずです。

中医学では五臓六腑を繋ぎあわせている体腔の筋膜であるという先生もいます。

体腔:胸腔・口腔・鼻腔・腹腔とかいろいろありますが身体の空洞の部分。

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三焦というと手少陽三焦経との関係が気にかかります。(処方では小柴胡湯)

薬指の付け根の外側(関衝)から手首の(陽池)を通り、肘から肩までのぼります。

肩から背中の大椎を通り本経はそのまま上に進む。
大事なのは分枝が横隔膜・臍と身体の中央を貫き通る。これが五臓六腑すべてに関係して
くると考えられます。

「壮火之気衰 少火之気壮」
壮火(過度に更新した陽気)は気を衰えさせ、少火が人間のからだの恒温を維持して
います。

三焦の「焦」はこの少火の意味が含まれています。
三焦の異常は消渇を例にとると解りやすくなります。口渇が異常な上焦(肺)の熱、
飢餓感の強い中焦(胃)の熱、尿頻数の腎陰の熱。

三焦に関してはこれだけたくさんの症状が関係してくるので本当に難しいです。
小柴胡湯の加減法をうまく使えるようになれば、臨床の力は大分違ってくるでしょう。

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