気になる下肢(足)の浮腫(むくみ)

中医学

浮腫(むくみ)の相談は主に下肢の場合が多いので、下半身の浮腫(むくみ)に
ついて考えてみたいと思います。

❶:水湿困脾
  住居の影響がかなりあります。昔水田だった所や河川敷の後などに造成され
  住宅地になった所に長年居住している。また仕事が常に湿気の多いスイミング
  教室のインストラクターなどは仕事中多量の汗を出し、その後飲料水を冷飲で
  補うことがおおいようです。(冷飲では水分が津液にならず、湿邪でのこります。)

「治法」:通陽化湿利水
「代表方剤」:胃苓湯

❷:脾胃虚生湿
  普段から元気がなく、疲れやすい、便溏(ゆるい)、舌辺歯痕、
  舌胖(むくんでいる)

「治法」:益気利水
「代表方剤」:参苓白朮散(健脾顆粒)

❸:脾陽虚水泛(すいはん)
  温かい飲み物を飲んだ時、胃までの下降感が自覚できる。食欲不振
  舌辺歯痕、便溏(ゆるい)、下肢冷

「治法」:温脾利水
「代表方剤」:人参湯合五苓散
中医内科学では実脾飲

❹:腎陽虚水泛
  尿量減少、腰部冷痛、四肢(手足)冷、畏寒、顔色すすけて黒い、夜間尿
  お年寄りに多いです。

「治法」:温腎利水
「代表方剤」:真武湯合牛車腎気丸

❺:陰虚水泛
  尿短黄、腰膝酸軟(ようしつさんなん)、面紅潮熱、口乾咽燥、盗汗(寝汗)

「治法」:養陰利水
「代表方剤」:六味丸合猪苓湯
中医内科学では左帰飲合沢瀉・茯苓
肝腎陰虚では左帰飲合竜骨・牡蛎

実際の臨床になると結構迷うことが多いです。

特に注意しなければならないのは「経は血となし、血利せざれば則ち水となる
名づけて血分という。」金匱要略 水気病脈証併治

女性で月経不利の時よくみられる浮腫(むくみ)は瘀血がよくあります。
(益母草・沢蘭・桃仁・紅花)を加減します。

また浮腫と陽虚を関連づけてしまう習慣がありますが、陰虚によるものもかなり
あります。

補腎はいつも頭にいれておくことは大事です。

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