生命の基礎になる腎

中医学

西洋医学では「腎」は中医学で考えられるほど広範な働きはないようです。
(性機能や生殖能力、ホルモン分泌、耳鳴り、難聴など)

腎に蓄えられている「腎精」を「気」=エナルギーに変えることを「煉精化気」と
いうようです。

「腎」がなぜ重要なのか、「心」との関係が想像できます。
易の卦にも「心腎相交」があるくらいです。

未済(びせい):上が心(火)で下が腎(水)の卦です。
「物は窮(きわ)まるべからず。故にこれを受くるに未済を以てして終わる」
未完成の卦だが未来があると書かれています。

腎精のもとになるのは食物から得る精微物質ですが、現代人は栄養面での不足を
考えるよりも脾胃の消化吸収能力のほうが大事なようです。

補腎で用いる生薬で有名なのは「地黄」ですが日本で使用されている乾地黄は
寒性なので長く使用し続けると真陽が不足して腎の働きを落としてしまうことが
あります。

中医学では「久服地黄暴脱症」といい、虚脱状態で汗が油のように出ることが
あります。

問題になるほどたくさんの人に使用されているということですが、日本では大量に
使用されることはめったにありません。

熟地黄として修治を施すと微温になりますが、日本のエキス製剤でこのように修治して
使用しているメーカーがあるのかしりません。

それでも地黄は中医学では大変重要な位置を占める生薬の一つです。

中国では縮砂(砂仁)を副作用防止のため使用するようです。
当店では胃腸の弱い方には晶三仙(山査子・麦芽・神麴など含有)を一緒に
服用してもらっています。

地黄を1~2グラムほど微妙に使いこなす先生もいます。

腎精は腎陽と腎陰が協調しあって働きます。

ここからがちょっといままでと話しが変わりますが、生命の源泉である腎精を枯渇
させるのは何が一番の原因なのか、自分は「セックス」や「老化」を考えていましたが
現代人では少し違うようです。

他者からの「圧力」や「焦慮」が脳下垂体に影響し、これが大きく問題になっている
ことは深く考えていませんでした。
焦慮:達成できない欲望への焦り。

また欲望を欲しいままにしたり、西洋薬・漢方薬の乱服も気負つけなければならないです。

また、道徳や養生も関係してくることは何となくわかります。
(五色令人目盲 那就単色 五味令人口爽 那就少味)、単純で純粋がいい。

最近ご相談の方で漢方を西洋薬のように各適応する症状によって数種類勧められて
服用している方がよくみられるのですが、漢方の信頼を落とすような販売はひかえて
ほしいです。

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