今回は少し長くなりそうです。
現代人は「憂」が関係深く、肺に関係する疾患が増えています。(憂傷肺)
肺に関しては、肺の気虚では補中益気湯、肺の陽虚では人参湯など、五行の母子関係でいう
肺の母にあたる脾の処方をよく使用します。
なかでも心脾顆粒という処方は脳の使い過ぎのストレスのために、消化器の血液が妄動している
のを消化器に返すという意味もあるようで肺・脾を補いながら精神疾患に対処する処方で
現代もっとも繁用されていい処方ではないでしょうか。
人間はストレスがかかると、そのストレスから逃げるために、血液は急いで、四肢末端に駆け付け
る必要があるため、心臓の拍出量をあげます。これが動悸・不安などの症状になります。
肝では貯蔵していた血液を筋肉に送り届けるため肝血虚の状態になり、疏泄作用が落ち、気の伸び
やかさがなくなり抑鬱感がでます。西洋医学でいう自律神経失調です。
また胃腸の血液も不足するため、食欲はなくなり、消化吸収の能力も落ち、体力低下になります。
この異常事態で心臓(火)の過剰な働きを抑制するのは腎陰(水)です。
長期にわたり、感情の抑圧などを抱えている人は、腎陰が不足することになります。
腎陰を補う処方と組み合わせるとより効果的です。
最近は腎精不足が若い人に進んでいるのはこんな原因も一因としてあげられます。
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これからが今回の本題となるのですが、ストレスを受け続けると脾の統血作用が弱り、血液は
血管から漏れ出し、不正性器出血や鼻血などが出現します。
血液が四肢末端に異常に駆け付けることを妄行といい、体幹部の肌熱になり炎症を引き起こし
ます。これは統血作用が過剰に亢進した状態です。
「・・・・・・・脾傷則血不帰脾、故不眠、脾主肌肉。故肌熱・・・・・」
「・・・・・・・脾不能統血則妄行、而有吐衄風崩漏等証・・・・・・・」
「脾傷らるれば、すなわち血帰することなし。故に不眠す。脾は肌肉を主る。故に肌熱す。
脾 血を統することあたわざれば、すなわち妄行し・・・・・・・・・・・」【医方集解】
アトピー性皮膚炎が清熱利湿解毒剤で一旦解消しても、また何かの「ストレス」などで発症する
場合この心脾顆粒を応用してもよさそうです。
この処方は人参を党参にかえ、大棗・生姜を除き熱産生を抑えるという点も考慮され、
アトピー性皮膚炎には使いやすくなっています。
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