前回に続き上記の本の平馬 直樹先生の書かれている部分の抜粋です。
乾燥型湿疹について次のような記述があります。
「臨床経験を積むにつれて、養血潤膚で対処できるケースはそれほど多くないように
感じるようになった。たしかに局所は血燥潤養不足であっても、それほど全身の陰血不足の反映ではなく、
皮膚局所に血と津液が行き渡らないための症状と解釈すべきケースがより多く占める
ように思われるようになった。血熱のために血の流通に異常が生じて皮膚を潤養できないという場合が多く、その場合
清熱涼血、疏経活絡すれば、養血しなくても症状が改善する場合が多い。皮膚はかさついてる部分が多くても、丁寧に観察すると分泌液が滲出している部分が
見られたり、尿利が少なく口喝するが、あまり水分がとりたくないなどの症状があれば
津液代謝異常を念頭に置いて弁証をすすめねばならない。もちろん舌象も参考になるが、舌が乾いているからといって短絡的に全身の津液不足と
解釈してはいけない」
前回の木田先生と同じようなことを言っています。
私自身は正常な皮膚の観察が重要であると考えています。
さらに重要な部分です。
症状が長引くと血瘀(けつお)を伴い、皮膚がかさつき肥厚し、暗紅色や色素沈着を
呈するものが多くなる。このようなケースに川芎・当帰・紅花などの温性の活血薬を用いるとかえって熱状を
助長する恐れがある。この点で涼血と活血を兼ねる赤芍・牡丹皮が重宝である。
葉天士は熱が営分に入った場合、清熱涼血薬に軽清透表の金銀花・連翹などを配合し
邪熱を気分に外透させる「透熱転気」という治法を提唱した。私は、赤芍・牡丹皮に加え紫根・丹参など加えて使用していただき、いい結果が
でていることがあります。
コメント