黄帝内経・上古天真論よりみた「六七(42歳)三陽脈衰竭於上、面焦,髪鬣始白。」
(42歳になると、三つの陽経の脈はすべて衰えてしまいます。それゆえ顔面はまったく
やつれ、頭髪もまた白くなります。)
たったこの一行に深い意味があることが解りました。
女性の42歳の「三陽脈衰於上」の上が特に意味があるようです。
三陽と書いてありますが
手太陽小腸経・手陽明大腸経・手少陽三焦経
足太陽膀胱経・足陽明胃経 ・足少陽胆経の
六つの陽脈の経絡が関係あるようです。
陽気が上昇・昇発の性質なので、陽虚は主に体の上部に症状の異常が出やすくなります。
順序で追っていくと次ののようになります。
❶:陽虚で少ない陽気は上に昇り、下半身は冷えやすくなります。(冷えのぼせ)
❷:冷えると凝集作用によって必ず懲りがでます。
❸:陽の一番大きな太陽膀胱系が通過している周囲の筋肉が凝る(背部)
❹:首筋・背筋が特に懲り、血管の筋肉も凝ってしまう(肩こり・視力低下など)
❺:脳内血液供給が減り、脳内が酸欠状態になる。
❻:脳の交感神経が強く働く(脳内に活性酸素が異常増加)(興奮・イライラ)
❼:ほてり・のぼせ・夜眠れない・耳鳴り(朝陽気が増えてくる頃眠くなる。)
中医学でいう「清陽不昇」「濁陰不降」となります。
上のような流れで陽虚の人は、いろいろな症状を訴えますが「陽虚」を改善
することで症状を軽減できることは多いと思います。
この時注意が必要です。中医学では陰陽互根といい「陰平陽秘 精神乃治」
陽気だけを補うと危険な状態があり「陰に陽を求める」という考えが重要です。
「陰平陽秘」:陰精が充実して勢いがある上に、陽気が固密であり、両者が
互いに依存・制約しあって相対的な平衡を維持している」
「陰に陽を求める」:陽虚を治療するとき、補陰薬を適度に加える。
つまり陰陽双補の考えが重要。(陰と陽のバランスを細かく観察する。)
この辺が治療者の能力なのでしょう。
今回は太陽膀胱経に関してだったですが、ほかの陽脈に関しても
考えを広げることが大事です。
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